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出で見れば 向かひの 岡に本繁く
出で見れば 向かひの 岡に本繁く 咲きたる花の 成らずは止まじ
(巻10-1893)
家から出て見ると、向かいの岡に根本が隠れるほどに繁って咲いている花があるのです。
その花が必ず実をつけるように、私の恋心も実るまでは止むことはありえないと思うのです。
家の向かい側の岡に咲く、根本までびっしりと繁った花を見て、自分の恋も実るまで諦めないと詠む。
もしかすると、向かいの岡に、片思いの家があって、花も繁っていた。
その花が実をつけるように、自分の恋も成就するまで諦めない。
強い恋心と言えばその通り。
ただ、そんな強い恋心を詠まれても、現代風に言えば、実に重い。
逆に嫌われる原因となってしまうのではないだろうか。




