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春霞 たなびく今日の 夕月夜
春霞 たなびく今日の 夕月夜 清く照るらむ 高松の野に
(巻10-1874)
※高松:高円(奈良市春日山の南の山)。聖武天皇の遊猟や、離宮も置かれた。
今宵は、ふんわりと春霞がたなびく中、美しい月が見えております。
あの高松の野でも、清らかに照らしていることでしょう。
作者は、高松の野に、何か憧れのようなものが、あったのかもしれない。
だから、できれば、高松の野で、清らかな月の光に照らされたい。
ただ、何らかの事情があり、高松の野には出向けない。
出向けないからこそ、憧れや想いは、増すのかもしれない。




