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浅緑 染め掛けたりと 見るまでに
浅緑 染め掛けたりと 見るまでに 春の柳は 萌えにけるかも
(巻10-1847)
浅緑色に染めた細い糸を掛けたかのように、春の柳が、今芽吹き始めております。
これも春の訪れを喜ぶ歌。
早春の歌に出て来る残雪も、うぐいすも出てこないけれど、「浅緑」という「色」で春を表現している。
色彩感の薄い冬を終え、柳に掛かる浅緑の新鮮な色を喜ぶ心理は、実に現代人でも共感する人も、多いのではないだろうか。
尚、柳は、枝を湿地にさし立てるだけで根を張ることがある。
その生命力の強さに、神木とも考えられていた。




