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冬過ぎて 春来たるらし 朝日さす
冬過ぎて 春来たるらし 朝日さす 春日の山に 霞たなびく
(巻10-1844)
冬は過ぎ去り、ついに春が来たようです。
朝日を浴びる春日の山に、ふんわりと霞がたなびいております。
霞が山にたなびくことで、冬の終わりと、春の到来を知る。
それも、朝日の中なので、実に新鮮な感覚。
人は、暦とか、時計で冬が終わったとか、春が来たとは、本来考えない。
そもそも暦も時計も、時の為政者が統治上の都合から、統治される人々に従わせたもの。
自然の風景、身体の感覚から、季節や時間を知る。
そのほうが、人が生きていくうえで、よほど素直なのではないだろうか。




