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風交じり 雪はふりつつ しかすがに
風交じり 雪はふりつつ しかすがに 霞たなびき 春さりにけり
(巻10-1836)
風に交じり、雪は降り続いています。
しかし、それでも霞がたなびいているのです。
つまり、春になったということなのです。
冬の終わりと、春の到来の交わる時期を詠んだ歌。
寒く辛い冬を耐えきり、ようやく温暖な希望があふれる春が来た。
そんな喜びに満ちた歌と思う。
尚、この万葉集の歌は、新古今和歌集(巻第一・春歌上8)にも、読人しらず、ほぼ同じ字句にて採られている。
風まぜに 雪は降りつつ しかすがに 霞たなびき 春は来にけり




