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冬ごもり 春さり来れば あしひきの
冬ごもり 春さり来れば あしひきの 山にも野にも うぐひす鳴くも
(巻十1823)
※冬ごもり:春にかかる枕詞。
※あしひきの:山にかかる枕詞。
春が来たので、山にも野にも、うぐいすが鳴いています。
実にシンプルな春とうぐいすの歌。
しかし、冬が姿を消し、春が来て、山にも野にも、緑が増し花も咲き出し、その安心感と美しさを喜ぶかのように、うぐいすがあちこちで、その可愛らしい鳴き声を響かせている。
余計な技巧がないだけに、春到来の喜びをさらに増すような、名歌と思う。




