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朝ゐでに 来鳴くかほ鳥 汝だにも
朝ゐでに 来鳴くかほ鳥 汝だにも 君に恋ふれや 時終へず鳴く
(巻10-1823)
※朝ゐで:水汲み場(井)として、川の流れを堰き止めた場所。
※かほ鳥:未確定。郭公説が有力。
朝の井に飛んで来て鳴いているかほ鳥さん、あなたも私の彼に恋心があって、いつまでも鳴き続けているの?
いろいろな想像ができるけれど、朝帰りしてしまった彼氏を思いながら、水汲み場に来ると、かほ鳥が鳴き続ている。
詠み手は、その止まない鳴き声を、かほ鳥も自分の彼氏に恋心があるからなの?と問いかける。
まさか、詠み手は、かほ鳥を恋敵とは思ってはいないだろうけれど、当のかほ鳥にしても、そんなことを問われても、何のことやらと思うだろう。
あまり難しく考えずに、女性が朝帰りの彼を見送った後の寂しさを、かほ鳥に問いかけた、可愛らしい歌と理解したい。




