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那賀郡の曝井の歌一首
那賀郡の曝井の歌一首
三栗の 那賀に向へる 曝井の 絶えず通はむ そこに妻もが
(巻9-1745)
※那賀郡:常陸(茨城県水戸市付近の愛宕町)に曝井の遺跡がある。
※三栗:那賀の枕詞。
那賀の郡にすぐ向かいの曝井の水が、絶え間なく湧き出でて来るように、いつまでも通い続けたいと思います。
できれば、その曝井に、妻がいてくれればなあと、思うのですが。
常陸国風土記の那賀郡に曝井の記載があり、夏になると洗濯をするために、泉近くに住む村落の女性たちが集まり、布を洗い曝し乾す、となっている。
都から来た高橋虫麻呂は、田舎の女性たちの元気さに興味を覚えた。
だから毎日でも続けて通いたい。
できれば、自分の妻がその中に、と望郷の思いもある。
ただし、少々好色気味の高橋虫麻呂は、現地の女性を物色すべく通ったとの説もある。




