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楽波の 比良山風の 海吹けば
槐本の歌一首
楽波の 比良山風の 海吹けば 釣りする海人の 袖返る見ゆ
(巻9-1715)
※槐本:未詳。えにすもと、えのもと、かきのもと、つきのもと等諸説あり。
※楽波:琵琶湖西南地方。
※比良山風:比良山は比叡山北部の琵琶湖西岸の山。
楽波では、比良山からの風が、琵琶湖の上を吹きわたり、釣りをする海人の袖を面白いように、ひるがえすのです。
比良山、広々とした琵琶湖、吹きわたる風、その風は湖上の釣り人の袖を面白いように、戯れるように、翻す。
実にさわやかな、愉快な風景歌と思う。




