579/1385
泉川の辺にして間人宿祢の作りし歌二首
泉川の辺にして間人宿祢の作りし歌二首
川の瀬の そそきを見れば 玉もかも 散り乱れたる 川の常かも
(巻9-1685)
彦星の かざしの玉し 妻恋ひに 乱れにけらし この川の瀬に
(巻9-1686)
※泉川:木津川
※間人宿祢:伝未詳。作者の名前も姓もわからない。
川の瀬が勢いよく流れている様子は、まるで、玉が散り乱れているかのように見えます、これがこの泉川のいつもの様子なのでしょうか。
彦星のかざしの玉が、妻恋のあまりに乱れ落ちてしまって、この泉川にまで散り乱れているようです。
二首目が、一首目の理由となるのだろうか。
彦星がなりふり構わず、流れの激しい天の河を渡って、織姫との逢瀬を遂げようとする。
その結果、かざしの玉が、下界の泉川(木津川)の川にまで、乱れ落ちてきてしまった。
実際は、泉川の激しい流れを見ての驚きの歌。
しかし、このように詠われると、なかなかロマンチックである。




