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万葉恋歌  作者: 舞夢
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斉明天皇紀伊国行幸時の二首

岡本宮に宇御めたまひし天皇の、紀伊国に幸したまひし時の歌二首


妹がため 我玉拾ふ 沖辺なる 玉寄せ持ち来 沖つ白波

                    (巻9-1665)

朝霧に 濡れにし衣 干さずして ひとりか君が 山道越ゆらむ

                    (巻9-1666)

右の二首は、作者未だ詳らかならず。

※岡本宮:奈良県高市郡明日香村にあった欽明天皇および斉明天皇の皇居。

※天皇の、紀伊国に幸したまひし時:第三十七代斉明天皇の紀伊国行幸時。

斉明四年(658)十月十五日から翌五年正月三日まで紀伊牟婁の湯に行幸。

尚、この行幸中、有馬皇子が捕らえられ、藤白坂で殺されている。


家で待つ愛しい人のために、私は玉を拾います。

沖の白波は、沖深くに沈む白玉を、この海辺まで運んで欲しいのです。


朝霧にすっかり濡れてしまった衣を干すこともなく、あの人は、一人だけで険しい山道を超えるのでしょうか。



一首目は、家で待つ妻を思いながらも、旅先の素晴らしい産物である白玉も褒める、典型的な旅行の歌。


二首目は、家で待つ妻の心を、行幸中の宴席において、その中の同行者の誰かが詠んだものと思われる。

ただ、難しいのは団体旅行の中で「《《ひとりか君》》が 山道越ゆらむ」と詠まれていること。

有馬皇子の事件がなければ、単なる宴会歌になるけれど、その君が有馬皇子としない確証もない。

作者も未詳なので、有馬皇子に実は同情していた人の作と考えられなくもない。

結論を出すべきか、出さざるべきか、古来人々を悩ませて来た二首である。


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