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梅の花 折りも折らずも 見つれども
他田広津娘子の梅の花一首
梅の花 折も折らずも 見つれども 今夜の花に なほしかずけり
(巻8-1652)
※他田広津娘子:伝未詳。坂上郎女と何らかの関係があった女性とされている。
梅の花は手折って、あるいは手折らないまでも楽しんで見てきたのですが、今夜の初花にはかないません。
折っても折らなくても楽しめる梅ではあったけれど、それを超える梅となれば、初花しかありえない。
おそらく前の歌「沫雪の このころ継ぎて かく降らば 梅の初花 散りか過ぎなむ」(坂上郎女)に和した歌。
「坂上郎女様のおっしゃる通り、沫雪で散ってしまうのが惜しくてならない梅の初花の素晴らしさと感じます」こんな応答なのだと思う。




