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秋田刈る 仮廬もいまだ 壊たねば
忌部首黒麻呂の歌一首
秋田刈る 仮廬もいまだ 壊たねば 雁が音寒し 霜も置きぬがに
(巻8-1556)
※忌部首黒麻呂:天平宝字二年(758)正六位上から外従五位下になった人。
短歌五首を残す。
秋田の刈り取りのための仮小屋も、まだ取り壊してはいないのに、雁の鳴く声は実に寒々しい。まるで霜がおりるとでもいいたいかのようです。
季節の推移の早さに驚く歌。
当時は稲刈りのために、田に仮小屋を作っていたということがわかる。
相当に広い田で、寝泊りを必要とするほどだったのかもしれない。
人力しか動力がない時代は大変だったのだと思う。




