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秋の露は 移しにありけり 水鳥の
三原王の歌一首
秋の露は 移しにありけり 水鳥の 青葉の山の 色づく見れば
(巻8-1543)
※三原王:舎人皇子の子。要職を歴任した知識人として知られる。歌は万葉集中、この一首のみ。
※移し:移し染めの材料。花を紙に染めておいて、それにより布等を染める。
※水鳥:鴨。鴨の羽のような緑かかった青葉の山へと続く。
秋の露は、染料でもあったのです。
青葉の山が、こんな風に色づくところを見ると。
季節は少しずつ寒くなり、秋の露を受けるごとに、緑がかった青葉の山を染め、紅葉が増していく様子を、なめらかに詠んでいる。




