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をみなへし 秋萩交じる 蘆城の野
太宰の諸卿大夫と官人等の、筑前国の蘆城の駅屋に宴せし歌二首
をみなへし 秋萩交じる 蘆城の野 今日を始めて 万代に見む
(巻8-1530)
玉櫛笥 蘆城の川を 今日見ては 万代までに 忘れえめやも
(巻8-1531)
右の二首は、作者未だ詳らかならず。
※蘆城の駅屋:大宰府東南の駅家。
※玉櫛笥:蘆城の枕詞。
※蘆城の川:大宰府の東にある宝満山に端を発し、南に流れ、筑後川に入る。宝満川とも言う。
おみなえしと秋萩が入り交じり咲く蘆城の野。
この野を今日をはじめとして、いつまでも見ていたいと思います。
蘆城の川を、今日見たからには、いつまでも忘れらることなど、ありえないと思います。
大宰府東南の蘆城の駅屋において、新任の官人の歓迎会が行われた際の、新人官人の着任の歌。
まずは新人らしく、着任地を褒める。
目の前の風景を詠んだだけのシンプルな歌。
作者が未詳なので、名前を残すほどでもない、低位の官人だったと思われる。




