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秋山に もみつ木の葉の うつりなば
山部王の、秋の葉を惜しみし歌一首
秋山に もみつ木の葉の うつりなば さらにや秋を 見まく欲りせむ
(巻8-1516)
秋の山の、この美しい紅葉が散り去ってしまったなら、また来年の紅葉を見たいと思うのです。
実に平凡な歌で、おそらく紅葉を愛でる宴会時で詠まれたのだと思う。
作者の山部王は、未詳。
筆写する際の、門部王、あるいは山前王との誤り説がある。
前後の作者(前が但馬皇女、後ろが長屋王)からすると、相当な有名人と考えられるけれど、山部王の名では、史書には該当する人がいない。




