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今朝の朝明 雁が音聞きつ 春日山
穂積皇子の歌
今朝の朝明 雁が音聞きつ 春日山 もみちにけらし 我が心痛し
(巻8-1513)
今朝の明け方に雁の鳴き声を聞いたけれど、どうやら春日山は紅葉の季節ということらしい、それを思うにつけても私の心は辛くて仕方がない。
※穂積皇子は和銅八年(715)、奈良遷都の五年後に没している。
尚、穂積皇子は和銅元年六月に妻但馬皇女を亡くしており、妻を奈良京に伴えなかった寂しさ、一緒に美しい春日山の紅葉を見たくても見ることができない、そんな辛さを詠んだと想定できる。




