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夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は
岡本天皇の御製の歌一首
夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は 今夜は鳴かず 寝ねにけらしも
(巻8-1511)
※岡本天皇:舒明天皇。斉明天皇説もあるけれど、斉明天皇は「御岡本天皇」とされるので、舒明天皇説をとる。
夕方になると、小倉の山に鳴いている鹿は、今夜は鳴いていない。
すでに妻に逢い、眠りについたのであろうか。
歌そのものに、大きな慈愛を感じる。
歌そのものを、何度も詠むほうが、真価がわかる。
万葉集最高の名歌に類するものと、古来から褒めたたえられてきた歌である。




