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今もかも 大城の山に ほととぎす
大伴坂上郎女の、筑紫の大城山を思ひし歌一首
今もかも 大城の山に ほととぎす 鳴きとよむらむ 我なけれども
(巻8-1474)
※大城山:福岡県大野城市にある四天王寺山。大宰府のすぐ背後。
今頃は、大城の山でホトトギスが元気に鳴いていることでしょう。
もう私はそこにはいないけれど。
坂上郎女は、大伴旅人が妻を失った神亀五年(728)四月以降に筑紫に下り、天平二年(730)十二月前後に帰京。
この一首は天平三年、奈良の都にて、大宰府時代を懐かしんで詠んだ歌。
やはり短期間とはいえ、違う場所に住むと、また元の場所に戻った時に懐かしくなる。
情が移る、残る、ということなのだと思う。




