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世の常に 聞けば苦しき 呼子鳥
大伴坂上郎女の歌一首
世の常に 聞けば苦しき 呼子鳥 声なつかしき 時にはなりぬ
(巻8-1447)
右の一首は、天平四年三月一日、佐保の家の作なり。
※呼子鳥:未詳。カッコウ説あり。
※佐保の家:坂上郎女の家。大伴家は平城京東北の佐保後に邸宅を構えていた。
普通の時期に聞くと切なさを感じる呼子鳥の鳴き声が、不思議なほどに愛おしくなる時期となりました。
寒い冬から暖かい春を迎え、カッコウを含め、全ての生き物が勢いを増す。
春の季節は、愛しあう季節、そんな喜びに満ちた歌と思う。




