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春の野に あさる雉の 妻恋に
大伴宿祢家持の春の雉の歌一首。
春の野に あさる雉の 妻恋に 己があたりを 人にしれつつ
(巻8-1446)
春の野に餌をあさる雉がいるのですが、妻恋しさのあまり鳴き騒いでいます。
それで自分の居場所を人に知らせているのです。
そんなに騒いで、人に知られてしまえば、矢などで射られて、命まで失うことにもなるのにと、雉の命の心配をする。
天平四年(732)家持の初期の歌と言われている。
尚、前年7月に父旅人を失くしているので、まだ「死」というものに多感な時期であったとも想定できる。




