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かはづ鳴く 神奈備川に 影見えて
厚見王の歌一首
かはづ鳴く 神奈備川に 影見えて 今か咲くらむ 山吹の花
(巻8-1435)
※厚見王:系統未詳。天平勝宝元年(749)に従五位下、同七年頃少納言、天平宝字元年(757)に従五位上。(続日本紀)
※神奈備川:神奈備の地を流れる川。飛鳥川説と龍田川説が有り。
河鹿の鳴く神奈備川にその姿を映し、ついに今、山吹の花が咲く時期になったのでしょうか。
歌全体の調子がなめらかで、平安期の歌人にも愛され、本歌として多く採られた。
今もかも 咲きにほふらむ 橘の 小島の崎の 山吹の花(古今集 春歌下)
逢坂の 関の清水に かげ見えて 今や引くらむ 望月の駒(拾遺集 秋)
春ふかみ 神奈備川に かげ見えて うつろひにけり 山吹の花(金葉集 春部)
かはづ鳴く 神奈備川に 咲く花の いはぬ色をも 人のとへかし(新勅撰集 恋歌)
 




