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山部宿祢赤人 我が背子に
我が背子に 見せむと 思ひし梅の花 それとも見えず 雪の降れれば
(巻8-1426)
私の愛しいあの人に見せたいと思っていた梅の花なのですが、その見分けがつかないのです、これほど雪が枝にまで降り積もると。
明日よりは 春菜摘まむと 標めし野に 昨日も今日も 雪は降りつつ
(巻8-1427)
明日から春菜を摘もうと標縄を巡らしていた野に、昨日も今日も、雪が降り続いているのです。
なかなか、本物の春が来ないことへの嘆きと焦りだろうか。
山部赤人らしく、実にわかりやすい名歌である。




