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春山の 咲きのををりに
尾張連の歌二首 名欠く
春山の 咲きのををりに 春菜摘む 妹が白紐 見らくしよしも
(巻8-1421)
うちなびく 春来るらし 山の際の 遠き木末の 咲きゆく見れば
(巻8-1422)
色とりどりの花が咲き乱れる春の山で、春菜を積んでいる美少女の白い紐を見ているだけで楽しくなるのです。
草木が芽を出し、柔らかな風になびく春が来たようです。山際のあちこちの梢が次々に咲くのを見ていると。
尾張連は、伝未詳。万葉集の編者にもわからなかったようだ。
両方とも、春到来のうれしさに満ちた、愛すべき歌。
そのまま、味わいたいと思う。




