451/1385
河に寄せき(4)
嘆きせば 人知りぬべみ 山川の たきつ心を 塞かへてあるかも
(巻7-1383)
嘆いてため息をついたりすると、他人に知られてしまいます。
私の山の中の激流のような恋心は、やっとの思いで堰き止めているだけなのです。
人目をおそれて、心の中の激しい恋心を知られぬよう、万が一でも嘆いてため息をつかないよう、必死に表面上は何事もないように振る舞い続ける。
現代の日本でも、他人の恋愛には、ことさらに厳しい目をむける人が多い。
厳しい目をむけたとて、何の得があるのかは、わからないけれど。




