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河に寄せき(1)
絶えず行く 明日香の川の よどめらば 故しもあるごと 人の見まくに
(巻7-1379)
明日香川 瀬々に玉藻は 生ひたれど しがらみあれば たなびきあはなくに
(巻7-1380)
さらさらと流れて行く明日香川がよどむようなことがあれば、何かがあるのかと、人は見るでしょうね。
明日香川の瀬ごとに玉藻は生えているのですが、しがらみも設けてあるので、なびきあうことができないのです。
一首目は、本来はよどみなく流れる明日香川がよどむ、つまり何かの障害が発生しているということ。
男女関係で言えば、常日頃と異なる素振りを見せることのないように、世間に二人の関係を知られないようにと注意する。おそらく女性が詠んだ歌。
二首目は、明日香川の玉藻を自分たちに、しがらみを親や世間にたとえた。
相思相愛でありながら、邪魔ばかりされていると、悔しがる。
こちらは、前の歌を受けた男性が悔しがる歌のような印象を持つ。




