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月に寄せき(3)
闇の夜は 苦しきものを いつしかと 我が待つ月を 早も照らぬか
(巻7-1374)
朝霜の 消やすき命 誰がために 千年もがもと 我が思はなくに
(巻7-1375)
闇の夜は苦しくてなりません。
いつになるかと待ち続けている月が、少しでも早く暗闇を照らして欲しくて。
朝霜のようにすぐに消えてしまうような命なのです。
あなた以外の誰のために、千年とも思うくらい生きていたいと思うのでしょうか。
両方とも同じ場で、女性が詠んだ歌とされている。
闇の夜の歌は、少しでも早くと、男の訪れを待ち焦がれる想いを詠う。
朝霜の歌は、待つ苦しみの中で、男を待つ女の心を詠う。
いずれにしても、わかりやすく、心に響く歌と思う。




