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花に寄せき(2)
春日野に 咲きたる萩は 片枝は いまだ含めり 言な絶えそね
(巻7-1383)
春日野に咲く萩の、片一方の枝は、まだ蕾のままです。
お言葉を絶やさぬようにお願いします。
おそらく娘を二人持つ、母親がこれと見込んだ男性への歌か。
一人の娘は良縁を得るなどして、すでに決着がついてしまった。
もう一人の娘は、年が若いのか、今だ蕾のまま。
未婚で婚約もしていないので、貴方もお気持ちがあるのなら、お言葉を絶やさぬように。
当人同士ではなく、親がほとんど結婚を決める時代。
親も婚活に懸命だったようだ。




