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花に寄せき(1)
息の緒に 思へる我を 山ぢさの 花にか君が うつろひぬらむ
(巻7-1360)
※息の緒:緒のように細々と長く続く息。苦しさのなかで、死まで思うような極限状況。命がけの状況。
※山ぢさ:山野に自生するえごの木、男の心の移りやすさを表現する。えごは、5月頃に房状の白い花をつけるけれど、すぐにしぼむ。
私は命がけであなたを想っているのですが、あなたは山ぢさの花のように私への想いはしぼみ、他の女に想いが移ってしまったのでしょうか。
彼の心変わりを不安視する可憐な娘の歌と思う。




