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木に寄せき(2)
見れど飽かぬ 入国山の 木の葉をば 我が心から なつかしみ思ふ
(巻7-1305)
※入国山:和歌山県田辺市秋津町にある山らしい。
見飽きることがない入国山の木の葉が、心の底から恋しくて仕方がない。
「入国山の木の葉」は他人の妻の譬え。
人妻に恋焦がれる男の心を述べた歌と言う。
世間の倫理に反していることも理解しているけれど、見飽きないほどに、他人の妻を愛してしまった。
もともとが叶わぬ恋だったのか、あるいは他人に奪われてしまったのか。
いずれにせよ、叶わぬ恋は、苦しく心を燃え上がらせる。




