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山に寄せき(2)
奥山の 岩に苔生し 畏けど 思ふ心を いかにかもせむ
(巻7-1334)
奥山の岩という岩に苔が生えていて、実に恐ろしくてならない。
それでも、それを乗り越えて行きたいと思う心が止められない。
いったい、私は、どうしたらいいのだろうか。
高貴な、身分違いの女に恋心を抱いてしまった男の嘆きの歌というのが定説。
それ以外には、悩みに悩んで恋心を告白する際の、男の気持とも考えられる。
とにかく心が不安に脅え、その顔を真っ赤にして、懸命に恋の言葉を告げる時のような、そんな捉え方も、面白いかもしれない。




