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弓に寄せき(2)
南渕の 細川山に 立つ檀 弓束巻くまで 人に知らえじ
(巻7-1330)
※南渕:明日香の稲渕。島の庄の南。飛鳥川の上流。
※細川山:明日香村岡寺の東南、細川に臨む山。
※弓束巻くまで:左手で弓を握りしめる部分に桜の樹皮や革を巻き付けて握りやすくすること、弓の仕上げの作業。
南渕の細川山に檀の木が立っているけれど、弓に仕上げて弓束を巻くまでは、人に知られたくない。
意中の女を、自分の妻とするまでは、秘密にして起きたいと思う男の歌。
南渕の細川山は、早くから開けた土地で、人の往来も多かった。
そこに檀の良材(美少女)があれば、どうしても男たちの関心を集めてしまう。
あるいは、その付近で行われた宴会歌なのかもしれない。




