玉に寄せき(3)
海神の 手に巻き持てる 玉ゆゑに 磯の浦みに 潜きするかも
(巻7-1301)
海の神がしっかりと手に巻いて持っている真珠なので、私は磯の浦辺で水に潜らなければればならないのです。
海神の 持てる白玉 見まく欲り 千たびぞ告りし 潜きする海人は
(巻7-1302)
海の神が持つ真珠を手に入れたいと思い、数えきれないほどの唱え言をして、海人は水に潜るのです。
潜きする 海人は告れども 海神の 心し得ねば 見ゆといはなくに
(巻7-1303)
数えきれないほどの呪文を唱えて、海人は水に潜るのですが、海神の御許しがないので、真珠を見るなど、とても難しいようです。
いずれも海神(厳格な親)、白玉(真珠:娘)、海人(娘に求婚する男)の関係の歌。
よほど厳格な両親か、あるいは求婚する男に魅力がないか、それは不明。
尚、海人の呪言については、海女が鮑を取るため、舟から飛び込む際に、鮑を起こす鉄のへらで、舟ばたを叩き、エビス、ツイヤ竜宮さん、あるいはツイツイ、ツヤツヤと唱えてから潜る風習があったとの伝承がある。




