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衣に寄せき(2)
紅に 衣染めまく 欲しけども 着てにほはばか 人の知るべき
(巻7-1297)
紅色に衣を染めたいと思うけれど、そんな色の着物を着て目立ってしまうと、世間に気づかれてしまうでしょうか。
二通りの解釈がある。
一つは、美しい女を手に入れたいけれど、世間の噂をためらう男が詠んだとの説。
この場合の紅の着物は、美しい女。
着てしまうのは女と契ることになる。
もう一つは、男の求婚を受け入れたいけれど、受け入れてしまう(契りを結ぶ)と、その喜びがあふれ過ぎて、世間に知られるのを気づかう女が詠んだとの説。
なかなか結論は出せないけれど、いずれにしても、初々しい恋の歌になる。




