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蘿を詠みき
み吉野の 青根が峰の 蘿席 誰が織りけむ 経緯なしに
(巻7-1120)
み吉野の青根が峰の苔むしろは、いったい誰が織られたのでしょうか。
縦糸や横糸の区別もつかないのに。
青根が峰は未詳。
美しい苔を敷物にたとえ、人ならば縦糸と横糸を駆使して織りあげるけれど、自然界はそんなことをせず、そのまま美しい敷物として目の前に広がっている。
自然賛美の歌となる。
峰ではないけれど、たとえば大原三千院の苔、金沢兼六園の苔、奈良唐招提寺鑑真廟の前の苔などは必見。
確かに実に美しい敷物に見える。




