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山を詠みき(2)
みもろづく 三輪山見れば こもりくの 泊瀬の檜原 思ほゆるかも
(巻7-1095)
檜林が続く三輪山を見ていると、泊瀬の檜原を思い出してしまいます。
泊瀬は三輪山東の渓谷の地。広大な檜原があった。
よほど、その泊瀬の檜原に思い入れの強い人が、懐かしみ、賛美する歌と思われる。
古の 事は知らねを 我見ても 久しくなりぬ 天の香具山
(巻7-1096)
遠い過去のことはよく知りませんが、今に生きる私が見はじめてからも、天の香具山は、その神々しさは、長らく全く変わることはありません。
香具山は、神代の時代からの聖地、ずっと眺めてきて、今また、目の前に眺めて、何か深い感動を覚えたのかもしれない。
古くからの人の想い、そして昔からの自分の想い、今まさに見た自分の想い、それが渾然となる感覚。
古くから人の想いを集めてきた聖地には、不思議な力があるようだ。




