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難波宮に幸したまひし時の歌六首(6)
馬の歩み 押さへ留めよ 住吉の 岸の黄土に にほひて行かむ
(巻6-1002)
右の一首は、安倍朝臣豊継の作なり。
※「黄土」:赤黄色の粘土。住吉は染色で使用する黄土の有名な産地だった。
※「にほひて」:美しい色に染まって。
馬の歩みを押さえ留めてください。
もう少し住吉の岸辺の黄土に染まって行きましょう。
染色用の黄土があるから、留まりたいと詠むのではなく、実は美しい女性たち(遊行女のような)がいるので、もう少し遊んで行きませんかと、願う歌らしい。




