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湯の原に 鳴く蘆鶴は
帥大伴卿の、次田の温泉に宿りて鶴の喧くを聞きて作りし歌一首
湯の原に 鳴く蘆鶴は 我がごとく 妹に恋ふれや 時わかず鳴く
(巻6-961)
※次田の温泉:大宰府の南、筑紫野市の二日市温泉。
※湯の原:温泉の湧く野原。
湯の原に鳴く蘆鶴は私と同じで、妻を恋いて、絶えることなく鳴き続けている。
大伴旅人の妻は、筑紫到着後、すぐに亡くなっている。
鶴も相手を探して鳴き続けるのだろうけれど、私も同じ。
自分を残して世を去った妻を思い、鳴き続ける。
これも素直に亡き人を偲ぶ名歌と思う




