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万葉恋歌  作者: 舞夢
301/1385

山部赤人 あぢさはふ 妹が目離れて(1)

辛荷島を過ぐる時、山部宿祢赤人の作りし歌一首、短歌を幷せたり


あぢさはふ 妹が目離れて しきたへの 枕もまかず 桜皮巻き 作れる舟に ま楫貫き 我が漕ぎ来れば 淡路の 野島も過ぎ 印南つま 辛荷の島の 島の間ゆ 我家を見れば 青山の そことも見えず  白雲も 千重になり来ぬ 漕ぎたむる 浦のことごと 行き隠る 島の崎々 隈も置かず 思ひそ我が来る 旅の日長み

                                (巻6-942)


※辛荷島:兵庫県室津の沖合に浮かぶ三つの小島からなる。

※あぢさはふ:語義未詳


愛する妻と別れて、その手枕もなく、桜皮を巻いて造った船に、楫を左右に通して、私が漕いで来て、淡路の野島の先も過ぎて、印南つまや辛荷の島の間から、我が家のある方角を見ると、青い山のどこにあるのかも見えず、白雲が千重に重なって来た。

漕ぎまわる浦ごとに、行き隠れる島の岬ごとに、どんな場所でも忘れることなく思い続けて来た。

旅の日数も長くなっているので。


赤人は、大和を立ち、難波津から、桜の皮を巻いた粗末な船で、瀬戸内海を西へ向かっていたと思われる。

おそらく、地方の国衙に赴任する途中の歌と思われる。

上級の役人であれば、原則はなるべく陸路になるけれど、山部赤人は中級以下、少々危険であっても、船旅になったのかもしれない。

妻の住む都を離れて行く寂しさと、船旅の不安が、素直に詠まれた歌と思う。




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