後に梅の歌に追和せし四首
後に梅の花に追和せし四首
残りたる 雪に交じれる 梅の花 早くな散りそ 雪は消ぬとも
(巻5-849)
雪の色を 奪ひて咲ける 梅の花 今盛りなり 見む人もがも
(巻5-850)
我がやどに 盛りに咲ける 梅の花 散るべくなりぬ 見む人もがも
(巻5-851)
梅の花 夢に語らく みやびたる 花と我思ふ 酒に浮かべこそ
(巻5-852)
残雪の中で花を開く白梅の花は、早く散ってはなりません、雪が消えたとしても。
純白の雪の色を奪い取るように咲く白梅は、今が盛りとなりました。一緒に見てくれる人があればいいのですが。
我が家の庭で今は盛りと咲いている梅の花も、散る時が来たようです。この風情を一緒に見る人があればいいのですが。
梅の花が夢に出てきて、語り掛けるのです。「私はみやびな花と自分でも思います、貴方のお酒に浮かべていただきたいのですが」
四首とも、大伴旅人氏の作。
一首目の、雪は解けて無くなったとしても、白梅だけは残って欲しいと素直に詠う。
二首目と三首目は、おそらく大宰府に着任後、すぐに命を落とした愛妻にも、この梅の花を見せたかった、一緒に見たかったとの思いを詠む。
四首目は、実に風流の極み、エロスを思い浮かべる人もいる。これ以上のコメントは野暮なので省略。




