表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万葉恋歌  作者: 舞夢
261/1385

家に行きて いかにか我がせむ~

反歌

家に行きて いかにか我がせむ 枕づく つま屋さぶしく 思ほゆべしも

                           (巻5-795)

はしきよし かくのみからに 慕ひ来し 妹が心の すべもすべなき

                           (巻5-796)

悔しかも かく知らませば あをによし 国内ことごと 見せましものを

                           (巻5-797)

妹が見し あふちの花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干なくに

※あふち:センダン。                 (巻5-798)

大野山 霧立ちわたる 我が嘆く おきその風に 霧立ちわたる

※大野山:大宰府北の葬送地              (巻5-799)


家に戻ったところで、私は何をすればいいのか。貴方のいない寝室など寂しく思うしかないのだから。


もう、どうにもならない。こんなことになってしまうのに、私を慕ってついて来てしまった妻の心が、やりきれないほど悲しい。


こうなると知っていたのなら、国の中のあちこちを見せてあげたのに、本当に悔しくてしかたがない


貴方が見ていたあふちの花は、散ってしまうようだ。私の流す涙がまだ乾かないのに。


大野山に霧が立ち込めている、私の涙が風に吹かれ、霧として立ち込めている。



前回の日本挽歌の反歌。

山上憶良が、愛妻を亡くしたばかりの大伴旅人の立場で詠んでいる。


どの歌も、大宰府国府に到着して間もなく亡くなってしまった妻への愛惜と、寂寥感に満ちている。


特に妻を葬った大野山に立ち込める霧は、私が嘆く涙の霧という歌は、心に響く。

悔しくて哀しくて寂しくて仕方が無い涙が、もう二度と逢えることのない妻の亡き骸を、霧になって包み込む。


そして、山上憶良の感性と表現の素晴らしさにも、心を包まれてしまうことになる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ