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また家持の、坂上大嬢に和せし歌二首
また家持の、坂上大嬢に和せし歌二首
後瀬山 のちも逢はむと 思へこそ 死ぬべきものを 今日までも生けれ
(巻4-739)
言のみを のちも逢はむと ねもころに 我を頼めて 逢はざらむかも
(巻4-740)
いつか後には絶対に逢いたいと思っているからこそ、死んでしまいたくなるような辛さを耐えて、今日まで生きているのです。
貴方は言葉だけ、いつか後には逢いたいと、私に約束をしておきながら、実際は逢ってくれないのでしょうか。
前回の大伴坂上大嬢の歌に出た後瀬山を使い、再びの求愛。
世間など気にしないと、お互いの気持ちは、高まっているけれど、実際にはなかなか逢えない。
ますます苦しさと不安は増すばかり。
他人からすると、やきもきするけれど、当人同士は結局はあれこれ気にして、苦しむ時期なのだと思う。




