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また家持の、坂上大嬢に和せし歌一首
また家持の、坂上大嬢に和せし歌一首
月夜には 門に出で立ち 夕占問ひ 足占をそせし 行かまくを欲り
(巻4-736)
月の照る夜には 門に立ち 夕占を聞いたり 足占をしたりするのです。
とにかく貴方のところへ行きたくて仕方が無いので。
日没前の一時は「逢魔が時」といわれ、霊の活動の最も盛んな時とされた。
そんな時刻に辻に出て、道行く人々の言葉で事の吉凶を判断するのが「夕占」である。
「足占」は、目標とする地点までの歩数、あるいは左右どちらの足が先に着くか、または足踏みをして、吉凶を判断したらしい。
愛しい坂上大嬢への距離が近くなればなるほど、失いたくない思いも強まる。
たわいもない占と考えるべきではない。
現代の科学が進んだ世であっても、様々な恋愛占いは、大盛況なのだから。




