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かくばかり 恋ひつつあらずは
大伴宿祢家持の歌一首
かくばかり 恋ひつつあらば 石木にも 成らましものを 物思わずして
(巻4-722)
これほどまでに 恋し続けてしまうのならば、石や木になってしまいたい。
そうすれば、物思いなどに苦しむことはないだろうに。
どんな人に天も、そして天子でさえも 抑えきれない情愛というものがある。
実らぬ恋、通じない思いに、苦しみ続けるのなら、感情のない石や木になって、楽になりたい。
人は木石に非ず、白楽天の詩を取り込み、恋の悩みを詠う。
結局、恋の悩みは、どんな時代でも尽きることはない。




