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大伴宿祢家持の、娘子に贈りし歌(7)
むらきもの 心くだけて かくばかり 我が恋ふらくを 知らずかあらむ
(巻4-720)
※むらきもの:心にかかる枕詞。
心が砕けて、これほどまでに苦しく恋しているのを、貴方は知らないのでしょうか。
結局、家持にとっては実らぬ恋だったようだ。
相手からの歌も残されていない。
よほど、縁遠い相手だったのか。
相当女性にもてた大伴家の御曹司に、何も返しの歌がないのも、珍しい。
恋する相手には、相手にされず、そうでもない人から、思いを寄せられる。
これだから、男女の恋は難しい。
人間の永遠の問題かもしれない。




