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大伴宿祢家持の、娘子に贈りし歌(6)
ますらをと 思へる我を かくばかり みつれにみつれ 片思ひをせむ
(巻4-719)
私自身、立派なますらをと思っていたのに、これほど苦しくやつれて、片思いとなっている。
※みつれ:やつれる、常ならずに苦しみ弱る。
そもそも大伴家は、大和朝廷最大の武の家門。
その筆頭の家持自身は、誇りに思い、責任を感じ、自分自身が立派な男だと思っていた。
しかし、そんな自分も、恋には弱かった。
相手の女性を射止められず、片思いに苦しみ抜いている。
受け取った娘子の反応も、実に気になるところであるけれど、野暮になるので不問とする。




