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大伴宿祢家持の、娘子に贈りし歌(5)
思はぬに 妹が笑まひを 夢に見て 心の内に 燃えつつそ居る
(巻4-718)
思いがけず、愛しい貴方の笑顔を夢に見てからというもの、心の中が燃え続けているのです。
夢占いで、夢に愛しい人が現れると、その愛しい人が自分を恋い願っていると信じられていた時代、ましてや笑顔で現れたのだから、大伴家持としては、心が昂ぶらないではいられない。
現実には、つれない態度の女性であったらしいけれど、その夢のために、家持はますますあきらめきれない。
実に罪作りな夢とも、夢占いとも言える。




