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大友宿祢家持の、娘子に贈りし歌(3)
夜昼と いふわき知らず 我が恋ふる 心はけだし 夢に見えきや
(巻4-716)
夜と昼の区別もわからないほどの、私の恋心の激しさは、もしかして貴方の夢に姿を見せたのでしょうか。
古代では、恋慕っていればいるほど、相手の夢に現れるということが信じられていたようだ。
歌を贈った相手から、「そんな・・・あなたなど出て来ませんよ」と軽くいなされてしまうと、それも、さぞかし辛いと思うけれど。
そのうえ、「もっと素敵な人が夢に出てきますし、現実に・・・」とまで言われれば、まさに落胆。
ただ、女性はいつの時代でも、厳しく現実的に男を「値踏み」する。
自分にとって「使用価値」のない男などは、どれほど恋されたとしても、最後は常にお払い箱となる。




