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大伴宿祢家持の、娘子に贈りし歌(1)
心には 思ひわたれど よしをなみ 外のみにして 嘆きそ我がする
(巻4-714)
心の中では、ずっと思い続けてはいるけれど、逢う手段もない。
遠く離れているしかなくて、私は嘆くばかりなのです。
嘆きは、長い息をはく、ため息。
遠距離恋愛か、近い場所にいても障害が多くて、容易には逢瀬を遂げられない相手もある。
そんなどうにもならない恋愛となってしまったら、確かに嘆くしかない。
ただ、この歌の詠み手は、恋多き大伴家持。
相手の女性に通わないことの、断り文句とも、思える。
こんな歌を受け取った相手の女性も、「この浮気者・・・」と嘆いているかもしれない。




