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粟田女郎子の、大伴宿祢家持に贈りし歌(1)
思ひ遣る すべの知らねば かたもひの 底にそ我は 恋ひなりにける
(巻4-707)
土垸の中に注せり。
※かたもひ:片方に注ぎ口がある土製の器。蓋が無く片側しかない。
※土垸:「片もひ」の土器。
思いを晴らす手段もわからないので、かたもひの底に沈むように、私は恋をすることになりました。
「かたもひ」は、片思いをかけている。
土器の底に沈んでいるということから、注ぐ酒の中に思いがあるのかもしれない。
口に出して言えないので、土器の底の私の片思いを、酒と一緒に飲んで欲しいという意味だと思われる。
おそらく宴会時の、余興の歌に近い。




